神経内科的治療

パーキンソン病

中年以降の方に多く、なにもしていないのに手がふるえていたり、歩くときに前屈みになって、歩幅が狭く、手の振りがなくなり、顔の表情もかたくなるような病気です。効果のあるお薬がたくさんありますが、使い分けに専門的な知識がいりますので、神経内科を受診してください。

多系統萎縮症

多系統萎縮症という病名は、

  • ・オリーブ橋小脳萎縮症
  • ・線条体黒質変性症
  • ・シャイドレージャー症候群

という3つの病名の総称です。この3つの病気は前景に立つ症状が異なりますが、脳の病理変化が共通していることから、まとめて多系統萎縮症と呼ばれています。治療法は現段階では根本的に治すことは難しい病気とされていますが、症状に応じた対症療法(運動や作業を用いたリハビリテーション)行い日常生活をできるようになることもあります。ただしこの分野の治療法は医学の日進月歩と同時に新しいものが出てくるのであきらめずに向き合っていきましょう。

ギランバレー症候群

筋肉を動かす運動神経の障害のため、急に手や足に力が入らなくなる病気です。手足のしびれ感もしばしば伴います。多くの場合(約7割程度)風邪をひいたり 下痢をしたりなどの感染の後1~2週して症状がはじまります。症状は2~4週以内にピークとなり、その後は改善していきます。症状の程度はさまざまです が、もっとも症状のひどい場合には寝たきりになったり、呼吸ができなくなることもあります。

病気がはじまってからなるべく早く、血漿交換療法あるいは免疫グロブリン大量療法を行うと、ピークの時の症状の程度が軽くなり早く回復することがわかっています。また症状のピークの時には人工呼吸器を用いたり血圧の管理を行ったりといった全身管理が重要であり、回復する時期にはリハビリテーションも大切となります。

多発性硬化症

多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患の一つです。私達の神経活動は神経細胞から出る細い電線のような神経の線を伝わる電気活動によってすべて行われています。家庭の電線がショートしないようにビニールのカバーからなる絶縁体によって被われているように、神経の線も髄鞘というもので被われています。この髄鞘が壊れて中の電線がむき出しになる病気が脱髄疾患です。この脱髄が斑状にあちこちにでき(これを脱髄斑といいます)、病気が再発を繰り返すのが多発性硬化症(MS)です。MSというのは英語のmultiple sclerosisの頭文字をとったものです。病変が多発し、古くなると少し硬く感じられるのでこの名があります。最近、抗アクアポリン4(AQP-4) 抗体という自己抗体の発見により、これまで視神経脊髄型MSと言われた中に視神経脊髄炎(NMO)が含まれていると考えられるようになってきています。この病気の場合はご自身がMS型なのかNMO型なのか病型を正確に判断した上でそれぞれに病型にあったお薬を使うことで効果がみられます。